大学職員、イギリスで学ぶ。

30代主夫のUCL留学体験記

【長いです】留学までのあらすじ(全貌)

前回までの記事で、エージェントに相談をしに行ったことぐらいしか、留学準備のためにしたことについては触れてきませんでした。

少し長くなりますが、時系列に沿って、留学までに何をしたのかを書いていきます。

 

ステップ1:留学エージェントに相談(2018年5月)

 

前回の話にも出た、留学エージェント(SI-UK)訪問。

相談のついでに、エージェントの主宰する「出願書類準備セミナー」なるものに参加しました。

セミナーと銘打たれているものの、大教室にわんさか人が集まるというタイプのものではなく、オフィス内の小部屋に私も入れて3人ほどの小規模な会でした。そこで、出願に必要な手続きや書類の種類、具体的なスケジュールなどについて説明を受けます。

具体的な手続内容が書かれた資料を貰えたり、また少人数のセミナーなので、わからない箇所があればすぐその場で質問できるということもあり、出ておいて損はないセミナーじゃないかと思います。

 

そして、セミナー参加後、エージェントの提供する「ベーシック出願サービス」へ申込。

このサービスは、イギリスの大学(最大5校まで)への出願をサポートするというもので、具体的なサポート内容としては、

 

①留学プランのご提案、学校・コース紹介
②出願書類作成の指導
③志望動機書添削(500語まで)
④推薦状、英文履歴書(CV)の添削
⑤願書のチェック
⑥英語力証明(IELTS)についての説明とアドバイス
⑦入学にかかわる手続きについてのアドバイス
⑧出発前オリエンテーションへのご参加

(↓リンクも貼っておきますので、よかったらご参照ください)

www.ukeducation.jp

 

と、無料にしてはかなりもりだくさんな内容。

特にありがたかったのは③・④で、英語力に不安のある自分でも、作成した願書や推薦書のネイティヴチェックを受けることができたので、安心して出願することができました。

 

ちなみに、結局自分が行くことになったUCL IoEは、上記プランのサポート対象外となるため、出願の手続きは自分で行いました。(ベーシック出願サービスではなく、「オックスブリッジ出願サービス」という別のサービスを選べば、UCLもサポート対象となるみたいです。サポート料金は280,000円もしますが…)

とはいえ、基本的な出願の内容はどの大学もそこまで変わらないので、ベーシック出願サービスで教えてもらった手続方法をそのまま応用すれば、自力でもそんなに苦労することなく出願を終えられるので、上記を超えた範囲のサポートを受けたいということがなければ、無料のサービスで十分かなと思います。

 

ひとまず、個別相談やセミナーへの参加を経て分かったのは、なるべく早い内に

 

・進学先候補の大学の情報収集をする

・出願書類の準備をする(特に、推薦状の作成の依頼)

・英語の試験(IELTS)を受ける

 

 

ことが必要だということでした。

 

進学先の候補の大学の情報に関しては、エージェントの方に自分の勉強したい内容や、立地などの条件をざっくりと伝えると、適当な(要望に合った)大学院のコースをリストにして送ってくれます。それらに加えて、主にインターネットで情報収集をスタートしました。どんなツールを使って情報収集を行ったかは、改めて記事にする予定です。

 

出願書類には、志望動機書や履歴書、卒業証明書・成績証明書といった自分で用意するもの以外に、推薦書という、「○○さんは貴学に入学するのにふさわしい人物です」という内容が書かれた書類を提出する必要があり、自分のような社会人の場合、①大学時代の指導教員、②職場の上司の2名分の提出が求められる場合が多いとのこと。

特に①の指導教員は大学卒業して以来数年間連絡を取っていないため、一度必ずお会いして推薦状の作成をお願いをせねば…と思い、イギリスに移住する前のToDoリストに加えました。

 

また、IELTSに関しては、必ずしも出願時にスコアを取得しておかなければいけないというものではないとのことでしたが、目標とするスコア(Band6.5〜7.0)を取るには相応の時間がかかるだろうと思い、できるだけ早めに一発受けておこうと決めたのでした。

 

ステップ2:現地で大学見学(2018年6月)

 

この段階でいきなり現地へ!?と驚かれるかもしれませんが、これには理由があります。

というのも、妻の赴任が間近(7月)に迫り、勤務先の会社が「事前出張」という形でイギリスに視察に来ることをオファーをして下さったのです。

事前出張には妻だけでなく、家族である私にも来ても良いということだったので、この機会に生活環境や進学先の候補の大学の様子を見てみよう!ということになり、夏休みを利用して1週間ほど人生初のイギリス滞在を経験することとなったのでした。

 

…ですが、いきなり海外の大学に直接アポを取る勇気もなかったわたし。

情けない話ですが、エージェントに連絡を取り、状況を説明すると、

 

担当の方 「それなら、知り合いの大学の担当者に連絡して、学校見学をさせてもらえるよう掛け合ってみますよ!」

 

…なんと心強い!

結果、敏腕エージェントのおかげで、King's College LondonとSt.Mary's Universityの2校に見学に行くことができました。

特に後者のSt.Mary's Universityでは、スタッフの方が丁寧に進学相談に乗って下さったり、施設の案内までしてくれたり(こんなとこまで入って良いの?というところまで笑)、帰りには大学のロゴが入ったマグカップまでお土産として渡してくれたりと、至れり尽せりの内容でした笑

現在はコロナ禍の影響で、直接現地に赴いて視察をするのは難しい場合が多いかと思いますが、エージェントや各大学がオンライン説明会等を開いている場合もあるかと思いますので、実際に大学の人に話を聞いてみることをオススメします。

 

…とまあ、偉そうなことを言っていますが、実際にはスタッフの話す英語は控えめに言って半分くらいしか理解できず、「やべえ、これはマジで英語勉強しないと…」と尻に火がついたことが一番の収穫でした。。

 

ステップ3:指導教官に推薦状作成を依頼(2018年9月)

 

イギリスでの大学見学から日本に戻り、ぼけーっとしていたらあっという間に8月も終わり、12月末の本格渡英に向けて時間が残り少なくなってきました。

どうしても日本にいるうちに済ませておかなければならなかったのが、大学時代の指導教員へ推薦状の作成をお願いすること。

…ところが、出身大学のWebサイトを見ても、指導教員の名前が出てきません。

 

色々と調べた結果、自分が大学時代に指導教員だった先生は、すでに別の大学に移ってしまっていたことがわかりました。

「それでも推薦状の作成をお願いしちゃって大丈夫なのかしら…」と不安になったため、エージェントに確認したところ、推薦状の冒頭に「〜年まで〇〇大学におり、××さんの指導をしていました」と一言付け加えればOKとのこと。

こういうちょっとした疑問にも答えてくれるので、やはりエージェントの無料サービスを利用しておいて損はないです。

指導教員にメールで連絡を取り、都内某所でお話をすることになりました。

 

久々にお会いした時には若干緊張もしましたが、会談は終始リラックスした雰囲気の中進み、推薦状の作成についても快諾してくれました。

ただ、自分が学部時代にどんな研究をしていたか、細部までは把握していないので、まずは自分の方で推薦状のドラフトを作成し、その内容を先生に確認してもらう、という形で進めるということに。(後から知った話では、直近で指導を受けている学生でもない限り、推薦状を一から全部指導教員に書いてもらえる方が珍しいようです)

ちなみに、指導教員に相談する時には、志望理由書は完成していませんでしたが、自分がどんなことに関心があり、何を勉強したいと思っているか、ざっくりとした内容でしたがA4一枚程度にまとめて持っていきました。推薦状の内容だけでなく、志望理由書の書き方や、志望校の選び方についても有益なアドバイスをいただけたので、志望理由がしっかりと固まっていない段階でも、一度身近な教員に相談してみると良いかと思います。

 

ステップ4:IELTS初回受験(2018年11月)

 

早く受けよう受けようと思っていても、ついつい先延ばしになってしまっていたIELTS受験。

「問題集とか一通り終えて、ある程度実力がついてから…」とも思っていましたが、そんな空想は実現するはずもなく、ほぼぶっつけ本番で初回受験をすることに。。

 

受験を終えて感じたこととしては、「もっと早く受けとけば良かった…」ということに尽きます。

というのも、参考書の内容を読んだだけでは本番の雰囲気や当日の流れを体感できず、また自分のできること・できないことをはっきりと意識することが難しいと思ったからです。

百聞は一見に如かず。

初回はとにかくスコアは気にせず、経験を積むつもりで気軽に受けに行くのが良いかと思います(とはいえ、そうそう何度も気軽に受けられる受験料ではないことも確かですが…)。

 

ちなみに、大学院に入学するまでにIELTSは合計3回受けることになるのですが、IELTSのスコアの推移や、どのような対策をしたかについては、別記事にまとめる予定です。

 

ステップ5:進学への葛藤〜出願(2019年1月〜2020年3月)

 

2018年末に無事に渡英し、いよいよ出願!というタイミングになってようやく、根本的な問題に気づいてしまいました。

 

「なんのために、大金を叩いてまで大学院に行くのか?」

「留学することが、自分の本当にやりたいことなのか?」

 

正確には、その時に気づいてしまったというよりも、ずっと見て見ぬフリをしてきたという方が正しいかもしれません。

そもそもが、妻の海外赴任について行くことを前提に出てきた留学というアイデア

「せっかく海外にいるんだし、ずっとプータローでいるのもアレだから、留学を目指してみよう。海外留学、かっこいいし」という以上の理由もなしに、ノリだけで事を進めてきた自分に気づいたのです。

 

というのも、イギリスの大学院の学費は高額です。

自分の志望していた教育学関係のマスターの1年間の学費の相場は15,000~20,000ポンド (約200〜300万円程度)で、専業主夫として収入がなくなった自分にはすぐに用意できる金額ではありませんでした。

上記のような曖昧な志望理由で、借金をしてまで進学することに意味があるのか?と、今更ながら疑問に思い始めてしまいました。

 

我ながら自分の無計画さには呆れるばかりですが、このタイミングできちんと「なんのために留学をするのか」について真剣に考え始めたことは、今振り返るととても重要なステップであったと感じています。

自分が今まで何を学んできたのか。これから何を学んで、何に活かしていきたいのか。

これらのことについて、「真剣に」考えることで得られたものは、留学先での学びと同じくらい価値のあることだと思います。

 

私は、これらのことを自分なりに考え、形にするまでに1年以上かかりました。

主夫業に勤しんでみたり、日本語を教えるボランティアに参加してみたり、身近な人や、社会人留学を経験したブロガーの方に相談してみたり…。いろいろなことを経験しながら、じっくりと考えを深めていきました。

そして、「日本の大学の国際化に貢献できる人材になりたい」という自分なりのミッションを見出し、そのために必要な知識や経験を身につけるために大学院留学をチャレンジしようと心に決めたのでした。

 

考えがまとまったら、後の流れは驚くほどスムーズ。あれだけ書くのに苦労していた志望理由書も、さらさらっと書くことができました(志望理由書の内容についても、別記事にまとめます)。

エージェントによる書類チェックを経て、3月初旬に出願を完了。

その後、コロナによる影響もあり、審査には通常よりも長い時間がかかりましたが、6月中旬に出願した大学3校(UCL, KCL, Roehampton)全てからオファーをいただくことができました。

 

ステップ6:合格決定後の葛藤(2020年6月〜9月)

 

大学院に合格するまでのプロセスは以上なのですが、実は合格してからも一波乱。

「本当に、大学院に行くべきか?」という疑問がしつこく再燃してきたのです。

 

先述した通り、「日本の大学の国際化に貢献したい」という大義名分はありました。

でも、いざ入学が迫ってくると、新しい環境に対する恐怖や、大学院での学びについて行けるのかという不安が頭をよぎり、一度は心に決めた留学への思いは揺らぎに揺らぎました。

 

それでも、最終的には、留学することを再び決心しました。

決め手になったのは、自分の大学院への合格を祝福してくれた、周りの方々の存在でした。

 

勤務先の大学の職員の方々には、自分の留学中に学んだことを還元するための情報交換会の場を設けていただきました。自分の学びを自分の中だけで完結させずに、大学全体の利益に繋がるような仕組みを作っていただいたことで、学びへのモチベーションはぐっと上がりました。

また、職場以外の友人にも、同じように海外留学を経験した方を紹介していただいたりと、留学にチャレンジする前には想像もつかなかったような人との繋がりを得ることができました。

 

こうした身の回りの変化は全て、大学院に合格するまでは予想もしていなかったことでした。でも、それらは全て自分が海外留学への挑戦という「リスク」を自ら負ったことで得られたものであることは間違いありません。

 

「リスクを負って本気でチャレンジすることで、事前には予想もしていなかった喜びに出会えるかもしれない」

 

このことに気づいた時に、自分の心は決まりました。

そして今は、その決断がもたらしたものに、心から満足しています。

 

おわりに

今回の記事では、自分が留学に至るまでに経験してきたことを、実際的な手続きの話から心理的な葛藤まで、つらつらと書かせていただきました。

決して模範的なプロセスではないと思いますし、参考になる内容は少ないかもしれませんが、数多くいるであろう社会人留学生の中にはこんな人もいるよ、ということが伝われば幸いです。

 

次回は、少し趣向を変えて、大学院の学びの内容について紹介したいと思います。

今後ともどうぞよろしくお願いします。

 

らー