出願準備について(志望理由書作成編)
今年もあと2日。なんだか信じられませんね。
昨年の今頃は、ちょうど大学院に出願する志望理由書(Personal Statement:PSとも言われる)の作成に勤しんでおりました。
今回は、自分がどうやって志望理由書を完成させたのかについて記事にしたいと思います。
はじめに:志望理由書とは?
イギリスの大学院入試は、基本的に筆記試験がありません。その代わり、履歴書や成績証明書、英語力証明(TOEFL, IELTS)に加え、志望理由書を作成・提出する必要があります。
そして、この志望理由書の出来が、入試の合否に直結するとも言われています。
志望理由書には、なぜ大学院で学びたいのか、卒業後に大学院で学んだことをどう活かしたいのかということについて、自分のバックグラウンドも交えて簡潔に文章にまとめることが求められます。
この「簡潔に」というところがポイントです。
というのも、多くの場合、志望理由書には文字数の制限(A4一枚程度)がかけられており、限られた字数の中で必要な情報をまとめ、かつ試験官にアピールするような文章に仕上げなければいけないからです。
前の記事でも書きましたが、私はこの志望理由書を書くのに1年以上かかってしまいました。
さすがにそこまで時間がかかってしまう人は珍しいかと思いますが、それでも多くの留学志望者にとって最初の大きな関門であることは間違いないかと思います。
ステップ1:お手本をたくさん集める
自分にとって英語で志望理由書を書くのは初めての体験であり、何を書けば良いのか全く分からない状態だったので、とにかくまずは「良いお手本」を集めるところからスタートしました。
そこで、最初に手に取ったのがこちらの本。
志望理由書に関する内容だけでなく、留学準備全般について色々と役立つ情報が満載の本なのですが、私はこの本の志望理由書のサンプルを読み込み、「こんなことを書けば良いのね」というイメージを作ることからスタートしました。
また、↑の本だけではサンプルが足りないと感じたため、英語で書かれた志望理由書のハウツー本にも手を出しました。それがこちら。www.amazon.co.jp
この本には、様々な専門領域の志望理由書のサンプルが50本ほど(!)収録されています。
もちろん、その全てに目を通したわけではないですが、それでもかなり参考になりました。
注意点としては、アメリカで出版された本なので、ちょっとイギリスの大学院向けの内容では無いと思われるところがあります(エッセイの制限字数等)。
ちなみに、志望理由書のサンプルは、インターネット上で"personal statement"と検索すればいくらでも出てきます。
そっち利用すれば良いじゃん、と思われるかもしれませんが、自分としては、ネット上で無料で手に入るサンプルがどの程度信用できるものか確信が持てなかったので、上記の本を活用しました。この辺は個人の見解によるところかと思います。
また、エージェントの有料プランを利用されている方は、エージェントで管理しているサンプルを閲覧することができるかと思いますので、そちらを大いに利用するのが良いでしょう。
ステップ2:構成を決める
サンプルを何個も見ていくと、「これは絶対に入れなきゃダメ」という要素がわかってきます。
ざっくり言うと、
①将来の目標
③自分の経歴(学部時代に学んだこと、社会人としての経験)
③進学を志したきっかけ
④学びたいことの具体的な内容
⑤卒業後の進路
といったところでしょうか。
言い換えれば、大学院進学をすることに対する自分自身の思いを、過去・現在・未来という時間軸に沿ってストーリーに仕立てるということです(自分で書いといて、ちょっと恥ずかしい…)。
ちなみに④については、学びたいことの内容だけでなく、それをなぜイギリスの大学で学ぶ必要があるのか、という点についても触れることがポイントです。
以上を踏まえて、私の場合は以下のように志望理由書の構成を決めました。
第一段落:将来の目標
→私の目標は、大学職員として日本の高等教育の国際化に貢献することだ。
第二段落:自分の経歴
→私は、学部時代は教育学を専攻し、特にアメリカの教育学者ジョン・デューイの教育思想について研究してきた。豊かな社会的経験を媒介させた学びが子どもの教育に不可欠であるという彼の思想に大いに影響を受け、卒業後も教育に関わる仕事がしたいと思い、学生支援部門の大学職員として学生の成長をサポートすることに従事してきた。
第三段落:進学を志したきっかけ
→学生支援部門の職員として多くの学生とコミュニケーションを取る中で、彼ら・彼女らの多くが自らの置かれた学習環境に不満を抱いていることに気づいた。その中でも特に多かったのが、授業内外で国内学生と留学生とが交流する機会が少なすぎるというものだった。国境や文化の垣根を超えたコミュニケーション力を養うことは、グローバル化が進む現代世界においては必須の要素であるのにも関わらず、こうした声が多くの学生から届けられたことに、私は強い危機感を覚えた。こうした経緯から、大学の国際化を進めるための政策やプロジェクトの企画立案・実行に携わることを自分のキャリアの次の目標として考えるようになった。
第四段落:学びたいことの具体的な内容
→上記の目標を達成するためには、新しい知識やスキルを獲得する必要がある。まず一つには、世界のグローバル化が社会にもたらす問題について深く理解し、その解決のために大学が何をできるかについて知ること。そして第二には、高等教育機関内ででどのようなプロセスを経て教育政策が立案され、実行されていくかについて見識を深めること。UCLの比較教育学コース、特に〇〇と××(具体的な授業名)では、自分の学びたいことが全てカバーされている。また、世界中から多くの留学生を受け入れており。国際的な学びのコミュニティを築き上げてきた実績を持つUCLで学ぶことは、日本の大学で働く自分にとって大変意義深い経験であると考える。
第五段落:卒業後の進路
UCLを卒業後は、所属先の大学に戻り、国際化推進のための政策立案・実行に携わりたいと考えている。そして、在学中に得た知見を、所属先の大学だけでなく、他の大学の職員とも共有することによって、日本の高等教育全体の発展のためにも尽力したい。上記の目的を果たすために、UCLで学ぶことは自分にとってベストな選択であることを確信している。
ステップ3:文章のチェックを依頼
文章を一通り書き終えたら、内容が首尾一貫としているか、スペルミスが無いかなどを第三者にチェックしてもらいます。
エージェントと契約している場合は、無料で1回のネイティブチェックを受けることができます(少なくとも、SI-UKはそうでした)。
私の場合は、それだけでは不安だったので、オンライン英会話の先生(複数人)や、英語ネイティブの友達に自分の文章をチェックしてもらいました。
オンライン英会話については、すごーくお世話になったサービスでもあるので、また改めて記事にしようと思っているのですが、通常のレッスンだけでなく、こうした志望理由書の添削なども気軽に引き受けてくれます。
もちろん、内容についてのアドバイスは最小限で、言い回しやスペルのチェックが中心の指導内容でしたが、今振り返っても相談してよかったなあと思います。
文章の校正で一つ注意すべきなのは、校正にかかる時間ですね。エージェントの場合、最短でも1週間程度はかかりますし、複数人に校正を依頼するのであれば尚更リードタイムを考慮する必要があります。
自分の場合も、なんだかんだで一通り自分で文章を書き上げてから、提出用の最終稿が完成するまでに1か月以上はかかったと思います。
おわりに
以上で志望理由書作成の全ステップは終了です。
大胆にも(?)自分の志望理由書の内容まで公開しながら、実際に自分が志望理由書の作成のために行ったプロセスをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
改めて自分の志望理由書を眺めてみると、「別に大したこと言ってないな…」という感じがします笑
特に難しいことを言っているわけでもなく、データを引用しているわけでもなく、ただ自分の経験した範囲で考えたことを、シンプルに文章にしただけです。
逆に言えば、この程度の文章でも、イギリスの大学院に合格できる可能性が十分にあるということです(UCLの他にも、King's College Londonにもほぼ同じ文章で出願しましたが、そちらからもオファーをいただくことができました)。
英語で文章を書かなければいけないというハードルはありますが、ぜひ多くの方々に海外留学にチャレンジしていただければと思います。
次回は、英語学習について記事にしたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
らー