大学職員、イギリスで学ぶ。

30代主夫のUCL留学体験記

冬学期の授業(その2)

こんにちは。

今回は前回の記事に引き続き、冬学期(1月〜3月)に受けた授業の内容をご紹介していきます。

 

冬学期の授業②:Education Traditions and  Systems in Europe

 

こちらの授業は、私の所属していたMA Comparative Educationの必修モジュールの一つ(本モジュールか、Education and Developtment in Asiaというモジュールのどちらかを選択)です。

個人的には、せっかくイギリスの大学で学んでいるので、ヨーロッパの教育制度について見識を深めたいと思い、こちらのモジュールを選択しました。

 

こちらの授業も、前半はレクチャー、後半はディスカッションというおなじみの形式だったのですが、特徴としては、受講者(30名ほど)の6〜7割くらいはヨーロッパ出身の学生で占められていたこと。

以前書いた記事で触れた通り、私の所属するコースの約半分くらいは中国人で占められており、授業によっては受講者の大半は中国人ということもありうる(前回の記事でご紹介したHigher Eductation Strategyのモジュールがまさにそれでした)のですが、このモジュールでは珍しく(?)ヨーロッパ系の学生が多かったです。

その影響もあってか、授業中の質問やディスカッションのテンポが早く、内容も高度なものになることが多かったので、正直自分のレベルではついていけないことも多く、悔しい思いもさせられました。。

 

各回の授業・レポートのトピック

 

各回の授業の内容は以下の通りです。

 

Week 1: How to study comparative politics of education (An overview of the field)

Week 2: Convergence and divergence in the European education systems

Week 3: School, markets and choice in the UK

Week 4: The Republican Tradition in the French Education system

Week 5: The Persistence of the Tripartite System in Germany

Week 6: The Spanish education system in transition

Week 7: The marketization of education systems in the Nordic countries

Week 8: Education Development in Eastern and Central Europe

Week 9: The European Dimension to EU Policy making

Week 10: Education and Social Cohesion  

 

ざっと見ていただくと分かる通り、各週ごとに一つの国(または地域)にフォーカスが当てられており、レクチャーではそうした国や地域の制度の内容や、制度の成立に至るまでの歴史的経緯が紹介されていました。

面白かったのは、フランスやドイツ、スペインや中央ヨーロッパについての回では、UCLではなく当該国の大学に所属している教員がゲスト講師としてレクチャーをしていたこと。

こうした要素は、オンライン授業だからこそ実現可能なものであり、また現地の状況をより詳しく学べる機会でもありましたので、非常に興味深かったです。

 

一つ残念だったのは、授業の内容は主に初等〜中等教育に関する事項が中心で、高等教育についてはほとんどスポットが当てられていなかったこと。

それでも、ヨーロッパの教育制度の多様性や、それらがどんな歴史的・文化的背景に基づくものなのかを学べたことは、ヨーロッパの高等教育制度について考察するのにも十分に応用可能なものでした。

また、期末レポートのトピックはヨーロッパの教育制度に関するものであれば、初等・中等・高等教育のどれを取り上げても構わないということだったので、私はヨーロッパの高等教育における「ボローニャ・プロセス」というシステムが、ヨーロッパ域内の学生移動にどのような影響を与えたかについて論じました。

結果として、修論はこのレポートを発展させる形で書くことになったので、この授業を受けることができて良かったなあと感じております。

 

おわりに

 

前回に引き続いての授業紹介、いかがでしたでしょうか。

一口にヨーロッパの教育制度と言っても、実に様々な内容や歴史的経緯を持っていることがよく分かる授業でした。ただ、先にも述べた通り、講義やディスカッションの内容はどうしても初等〜中等教育が中心ですので、その点は注意が必要かもしれません。

前回と同様、こちらもモジュール・カタログのリンクを貼っておきますね。

 

www.ucl.ac.uk

 

次回は、夏学期に受けた授業についてご紹介したいと思います。

それではまた。