【長いです】留学までのあらすじ(全貌)
前回までの記事で、エージェントに相談をしに行ったことぐらいしか、留学準備のためにしたことについては触れてきませんでした。
少し長くなりますが、時系列に沿って、留学までに何をしたのかを書いていきます。
ステップ1:留学エージェントに相談(2018年5月)
前回の話にも出た、留学エージェント(SI-UK)訪問。
相談のついでに、エージェントの主宰する「出願書類準備セミナー」なるものに参加しました。
セミナーと銘打たれているものの、大教室にわんさか人が集まるというタイプのものではなく、オフィス内の小部屋に私も入れて3人ほどの小規模な会でした。そこで、出願に必要な手続きや書類の種類、具体的なスケジュールなどについて説明を受けます。
具体的な手続内容が書かれた資料を貰えたり、また少人数のセミナーなので、わからない箇所があればすぐその場で質問できるということもあり、出ておいて損はないセミナーじゃないかと思います。
そして、セミナー参加後、エージェントの提供する「ベーシック出願サービス」へ申込。
このサービスは、イギリスの大学(最大5校まで)への出願をサポートするというもので、具体的なサポート内容としては、
①留学プランのご提案、学校・コース紹介
②出願書類作成の指導
③志望動機書添削(500語まで)
④推薦状、英文履歴書(CV)の添削
⑤願書のチェック
⑥英語力証明(IELTS)についての説明とアドバイス
⑦入学にかかわる手続きについてのアドバイス
⑧出発前オリエンテーションへのご参加
(↓リンクも貼っておきますので、よかったらご参照ください)
と、無料にしてはかなりもりだくさんな内容。
特にありがたかったのは③・④で、英語力に不安のある自分でも、作成した願書や推薦書のネイティヴチェックを受けることができたので、安心して出願することができました。
ちなみに、結局自分が行くことになったUCL IoEは、上記プランのサポート対象外となるため、出願の手続きは自分で行いました。(ベーシック出願サービスではなく、「オックスブリッジ出願サービス」という別のサービスを選べば、UCLもサポート対象となるみたいです。サポート料金は280,000円もしますが…)
とはいえ、基本的な出願の内容はどの大学もそこまで変わらないので、ベーシック出願サービスで教えてもらった手続方法をそのまま応用すれば、自力でもそんなに苦労することなく出願を終えられるので、上記を超えた範囲のサポートを受けたいということがなければ、無料のサービスで十分かなと思います。
ひとまず、個別相談やセミナーへの参加を経て分かったのは、なるべく早い内に
・進学先候補の大学の情報収集をする
・出願書類の準備をする(特に、推薦状の作成の依頼)
・英語の試験(IELTS)を受ける
ことが必要だということでした。
進学先の候補の大学の情報に関しては、エージェントの方に自分の勉強したい内容や、立地などの条件をざっくりと伝えると、適当な(要望に合った)大学院のコースをリストにして送ってくれます。それらに加えて、主にインターネットで情報収集をスタートしました。どんなツールを使って情報収集を行ったかは、改めて記事にする予定です。
出願書類には、志望動機書や履歴書、卒業証明書・成績証明書といった自分で用意するもの以外に、推薦書という、「○○さんは貴学に入学するのにふさわしい人物です」という内容が書かれた書類を提出する必要があり、自分のような社会人の場合、①大学時代の指導教員、②職場の上司の2名分の提出が求められる場合が多いとのこと。
特に①の指導教員は大学卒業して以来数年間連絡を取っていないため、一度必ずお会いして推薦状の作成をお願いをせねば…と思い、イギリスに移住する前のToDoリストに加えました。
また、IELTSに関しては、必ずしも出願時にスコアを取得しておかなければいけないというものではないとのことでしたが、目標とするスコア(Band6.5〜7.0)を取るには相応の時間がかかるだろうと思い、できるだけ早めに一発受けておこうと決めたのでした。
ステップ2:現地で大学見学(2018年6月)
この段階でいきなり現地へ!?と驚かれるかもしれませんが、これには理由があります。
というのも、妻の赴任が間近(7月)に迫り、勤務先の会社が「事前出張」という形でイギリスに視察に来ることをオファーをして下さったのです。
事前出張には妻だけでなく、家族である私にも来ても良いということだったので、この機会に生活環境や進学先の候補の大学の様子を見てみよう!ということになり、夏休みを利用して1週間ほど人生初のイギリス滞在を経験することとなったのでした。
…ですが、いきなり海外の大学に直接アポを取る勇気もなかったわたし。
情けない話ですが、エージェントに連絡を取り、状況を説明すると、
担当の方 「それなら、知り合いの大学の担当者に連絡して、学校見学をさせてもらえるよう掛け合ってみますよ!」
…なんと心強い!
結果、敏腕エージェントのおかげで、King's College LondonとSt.Mary's Universityの2校に見学に行くことができました。
特に後者のSt.Mary's Universityでは、スタッフの方が丁寧に進学相談に乗って下さったり、施設の案内までしてくれたり(こんなとこまで入って良いの?というところまで笑)、帰りには大学のロゴが入ったマグカップまでお土産として渡してくれたりと、至れり尽せりの内容でした笑
現在はコロナ禍の影響で、直接現地に赴いて視察をするのは難しい場合が多いかと思いますが、エージェントや各大学がオンライン説明会等を開いている場合もあるかと思いますので、実際に大学の人に話を聞いてみることをオススメします。
…とまあ、偉そうなことを言っていますが、実際にはスタッフの話す英語は控えめに言って半分くらいしか理解できず、「やべえ、これはマジで英語勉強しないと…」と尻に火がついたことが一番の収穫でした。。
ステップ3:指導教官に推薦状作成を依頼(2018年9月)
イギリスでの大学見学から日本に戻り、ぼけーっとしていたらあっという間に8月も終わり、12月末の本格渡英に向けて時間が残り少なくなってきました。
どうしても日本にいるうちに済ませておかなければならなかったのが、大学時代の指導教員へ推薦状の作成をお願いすること。
…ところが、出身大学のWebサイトを見ても、指導教員の名前が出てきません。
色々と調べた結果、自分が大学時代に指導教員だった先生は、すでに別の大学に移ってしまっていたことがわかりました。
「それでも推薦状の作成をお願いしちゃって大丈夫なのかしら…」と不安になったため、エージェントに確認したところ、推薦状の冒頭に「〜年まで〇〇大学におり、××さんの指導をしていました」と一言付け加えればOKとのこと。
こういうちょっとした疑問にも答えてくれるので、やはりエージェントの無料サービスを利用しておいて損はないです。
指導教員にメールで連絡を取り、都内某所でお話をすることになりました。
久々にお会いした時には若干緊張もしましたが、会談は終始リラックスした雰囲気の中進み、推薦状の作成についても快諾してくれました。
ただ、自分が学部時代にどんな研究をしていたか、細部までは把握していないので、まずは自分の方で推薦状のドラフトを作成し、その内容を先生に確認してもらう、という形で進めるということに。(後から知った話では、直近で指導を受けている学生でもない限り、推薦状を一から全部指導教員に書いてもらえる方が珍しいようです)
ちなみに、指導教員に相談する時には、志望理由書は完成していませんでしたが、自分がどんなことに関心があり、何を勉強したいと思っているか、ざっくりとした内容でしたがA4一枚程度にまとめて持っていきました。推薦状の内容だけでなく、志望理由書の書き方や、志望校の選び方についても有益なアドバイスをいただけたので、志望理由がしっかりと固まっていない段階でも、一度身近な教員に相談してみると良いかと思います。
ステップ4:IELTS初回受験(2018年11月)
早く受けよう受けようと思っていても、ついつい先延ばしになってしまっていたIELTS受験。
「問題集とか一通り終えて、ある程度実力がついてから…」とも思っていましたが、そんな空想は実現するはずもなく、ほぼぶっつけ本番で初回受験をすることに。。
受験を終えて感じたこととしては、「もっと早く受けとけば良かった…」ということに尽きます。
というのも、参考書の内容を読んだだけでは本番の雰囲気や当日の流れを体感できず、また自分のできること・できないことをはっきりと意識することが難しいと思ったからです。
百聞は一見に如かず。
初回はとにかくスコアは気にせず、経験を積むつもりで気軽に受けに行くのが良いかと思います(とはいえ、そうそう何度も気軽に受けられる受験料ではないことも確かですが…)。
ちなみに、大学院に入学するまでにIELTSは合計3回受けることになるのですが、IELTSのスコアの推移や、どのような対策をしたかについては、別記事にまとめる予定です。
ステップ5:進学への葛藤〜出願(2019年1月〜2020年3月)
2018年末に無事に渡英し、いよいよ出願!というタイミングになってようやく、根本的な問題に気づいてしまいました。
「なんのために、大金を叩いてまで大学院に行くのか?」
「留学することが、自分の本当にやりたいことなのか?」
正確には、その時に気づいてしまったというよりも、ずっと見て見ぬフリをしてきたという方が正しいかもしれません。
そもそもが、妻の海外赴任について行くことを前提に出てきた留学というアイデア。
「せっかく海外にいるんだし、ずっとプータローでいるのもアレだから、留学を目指してみよう。海外留学、かっこいいし」という以上の理由もなしに、ノリだけで事を進めてきた自分に気づいたのです。
というのも、イギリスの大学院の学費は高額です。
自分の志望していた教育学関係のマスターの1年間の学費の相場は15,000~20,000ポンド (約200〜300万円程度)で、専業主夫として収入がなくなった自分にはすぐに用意できる金額ではありませんでした。
上記のような曖昧な志望理由で、借金をしてまで進学することに意味があるのか?と、今更ながら疑問に思い始めてしまいました。
我ながら自分の無計画さには呆れるばかりですが、このタイミングできちんと「なんのために留学をするのか」について真剣に考え始めたことは、今振り返るととても重要なステップであったと感じています。
自分が今まで何を学んできたのか。これから何を学んで、何に活かしていきたいのか。
これらのことについて、「真剣に」考えることで得られたものは、留学先での学びと同じくらい価値のあることだと思います。
私は、これらのことを自分なりに考え、形にするまでに1年以上かかりました。
主夫業に勤しんでみたり、日本語を教えるボランティアに参加してみたり、身近な人や、社会人留学を経験したブロガーの方に相談してみたり…。いろいろなことを経験しながら、じっくりと考えを深めていきました。
そして、「日本の大学の国際化に貢献できる人材になりたい」という自分なりのミッションを見出し、そのために必要な知識や経験を身につけるために大学院留学をチャレンジしようと心に決めたのでした。
考えがまとまったら、後の流れは驚くほどスムーズ。あれだけ書くのに苦労していた志望理由書も、さらさらっと書くことができました(志望理由書の内容についても、別記事にまとめます)。
エージェントによる書類チェックを経て、3月初旬に出願を完了。
その後、コロナによる影響もあり、審査には通常よりも長い時間がかかりましたが、6月中旬に出願した大学3校(UCL, KCL, Roehampton)全てからオファーをいただくことができました。
ステップ6:合格決定後の葛藤(2020年6月〜9月)
大学院に合格するまでのプロセスは以上なのですが、実は合格してからも一波乱。
「本当に、大学院に行くべきか?」という疑問がしつこく再燃してきたのです。
先述した通り、「日本の大学の国際化に貢献したい」という大義名分はありました。
でも、いざ入学が迫ってくると、新しい環境に対する恐怖や、大学院での学びについて行けるのかという不安が頭をよぎり、一度は心に決めた留学への思いは揺らぎに揺らぎました。
それでも、最終的には、留学することを再び決心しました。
決め手になったのは、自分の大学院への合格を祝福してくれた、周りの方々の存在でした。
勤務先の大学の職員の方々には、自分の留学中に学んだことを還元するための情報交換会の場を設けていただきました。自分の学びを自分の中だけで完結させずに、大学全体の利益に繋がるような仕組みを作っていただいたことで、学びへのモチベーションはぐっと上がりました。
また、職場以外の友人にも、同じように海外留学を経験した方を紹介していただいたりと、留学にチャレンジする前には想像もつかなかったような人との繋がりを得ることができました。
こうした身の回りの変化は全て、大学院に合格するまでは予想もしていなかったことでした。でも、それらは全て自分が海外留学への挑戦という「リスク」を自ら負ったことで得られたものであることは間違いありません。
「リスクを負って本気でチャレンジすることで、事前には予想もしていなかった喜びに出会えるかもしれない」
このことに気づいた時に、自分の心は決まりました。
そして今は、その決断がもたらしたものに、心から満足しています。
おわりに
今回の記事では、自分が留学に至るまでに経験してきたことを、実際的な手続きの話から心理的な葛藤まで、つらつらと書かせていただきました。
決して模範的なプロセスではないと思いますし、参考になる内容は少ないかもしれませんが、数多くいるであろう社会人留学生の中にはこんな人もいるよ、ということが伝われば幸いです。
次回は、少し趣向を変えて、大学院の学びの内容について紹介したいと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
らー
移住、そして留学までのあらすじ(その4)
「イギリスに行って、何すんの?」
職場の大学の「配偶者同行休業」の制度により、休職という形で妻のイギリス赴任に帯同することが決まったわたし。
すっかり浮かれ気分になり、友人との飲み会で「来年からイギリスに行くんだ〜」と話していたら、冒頭の通りツッコミを入れられてしまいました。
わたし 「まだ詳しくは決めてないんだけど、留学してみたいと思ってるんだ」
友人 「そんなら、留学エージェントに相談してみたら?あたしの友達もそうしてたよ」
ほう。留学エージェントとな。
それまでそんなものが存在するとは全く知らなかったのですが、友人によれば、日本にはイギリスの学校(大学から専門学校、語学学校まで)への進学を斡旋する機関があるとのこと。
しかも、サポート内容にもよりますが、料金は無料のところもあると教えられ、それなら利用しない手はない!と思い、早速SI-UKという留学エージェントにネットで相談の予約を入れました。
留学エージェントのサポート内容についてはまた改めて別の記事に具体的に書く予定ですが、相談の結果、自分のようなペーペーの大学職員でも、イギリス大学院の高等教育関連の修士課程への入学が狙えるということが分かりました。
しかも、コースによっては、イギリスのトップ校とも言えるような大学にも合格の可能性はあるとのこと。
正直、「え、マジで、俺なんかでも…?逆に大丈夫か…?」と、イギリスの高等教育のレベルを一瞬疑いかけましたが、どうやらイギリスの大学院の入試では、日本の大学のような筆記試験は基本的にはなく、選考は書類審査のみ。また、実務経験を重視し、コースによっては関連領域での実務経験を必須としているところもあるということで、それなら自分にもチャンスがあるかも…という気になり、その日は意気揚々とエージェントのオフィスを後にしたのでした。
…と、ここまでが2018年5月までのできごと。そこから実際にイギリスの大学院に出願し、合格のオファーをもらうのが2020年6月なので、留学に至るまではなんと2年もの時間を費やしたということになります。
もちろん、何事に関しても腰が重くなりがちな自分自身の問題もありますが(苦笑)、それだけでなく、「何のために留学するのか?」ということに関し、自問自答を続けた時間でもありました。
この話については、かなりのボリュームになることが予想されるので、また改めて記事にしたいと思います。
というわけで、「あらすじ」と称してつらつらと書いてきましたが、こうして休職&留学への準備が進んでいき、2018年12月に無事に渡英し、現在はUCL IoEのComparative Educationのコースで勉強しています。
ところどころ、というか、だいぶ端折ったところもありますが(苦笑)、簡単な経緯ということで書かせていただきました。
次回からは、留学準備や留学先の授業の内容、イギリスでの主夫生活などについて書いていこうと思います。
移住、そして留学までのあらすじ(その3)
人事との面談で勤務先の大学に「配偶者同行休業」の制度があったことが発覚し、イギリスに移住することがいっきに現実味を帯びてきたわたし。
ですが、やっぱりまだまだ考えるべきことはたくさんありました。
次に問題になったのは、
①大学に「配偶者同行休業」の制度があるとしても、担当部署がそれを許してくれるのか?
②担当部署の許可を得たとしても、渡英のタイミングはいつにすべきか?
ということです。
特に気がかりだったのは①でした。
当時自分は一応、担当内で一番経験の長い職員(5年目)だったということもあり、年度の途中に(家庭の事情とはいえ)休職してしまうことで職場に迷惑をかけてしまうのではないか。
当時の上司も、まさかこのタイミングで自分がいなくなることを予想はしていなかったでしょうし、もしかしたら「行っちゃダメ!」と言われる可能性もあるな…と思っていたのです。
とはいえ、いつまでも一人で考えていても仕方がない。
新学期の喧騒もひと段落した5月中旬のある日、上司との面談をセッティングし、妻の海外赴任に同行するため、休職をさせていただきたいということを正直に打ち明けました。
…その結果、なんと返事はすんなりOK。
「確かに、君が抜けたら担当内は大変だけど、君のキャリアを考えたら、成長のまたとない機会だと思うし、ぜひ色々と吸収してきて欲しい」
という旨のお言葉までいただき、胸が熱くなりました。
当時の上司は、バリバリの体育会系の出身だったということもあり、「妻の海外赴任に同行して休職?このくそ忙しい時に、甘いこと言ってんじゃねえ!」と一喝されることも覚悟していたのですが、それも杞憂に終わりました(これも一つの偏見ですね)。
何事も、相談してみないとわからないもんだなあと改めて感じました。
(とはいえ、他の社会人留学生の方々のブログを拝見すると、留学を理由に退職や休職を申請することで、職場とトラブルに発展するようなケースもあるようです。
私の場合は、スムースに事が運びましたが、状況は職場によりけりだと思います。
誰に相談するか、いつ相談するか、ということについては慎重に考えた上で行動に移した方が良いかもしれません。)
また、相談の結果、渡英のタイミングは、年内の行事が全て終了する12月下旬とすることに決めました。
妻の渡英は7月でしたが、進行中のプロジェクトや11月の学園祭のことを考慮し、上記のタイミングとすることで担当内でも調整が進み、正式に休職が承認されました。
正直、妻と同じタイミングで渡英するのがベストな選択肢ではありましたが、12月まで残って業務に一区切りをつけてから出発したことで、担当内のメンバーも快く送り出してくれましたし、自分自身も負い目のような感情を持つことなく過ごせたので、結果としては正解だったかと思います。
というわけで、晴れてイギリス移住への道筋が明確になってきました。
ここからは、すっかり記憶の片隅に追いやられていた「留学」の準備に取り掛かることになります。
(その4につづく)
移住、そして留学までのあらすじ(その2)
日々のマンネリ感を脱したいという思いで、半ば勢いでイギリス移住を決断したわたし。
しかし、イギリスに行って何をするのか?については全く考えておりませんでした。
そんな夫のアバウトさを見透かしていたのか、すかさず妻が切り出したのは
「イギリスにいる間、向こうの大学院に行くってのはどう?」
留学、かあ…。
確かに、イギリスに滞在する約3年間、プータローでいるわけにも行かないし、何か将来に役立つような経験ができたほうがいいよな…。
でも、大学卒業してから英語ほぼ使ってないし、イギリスの大学院なんて入学できるのかしら…。
そもそも、イギリス行くとしたら、仕事やめなあかんのかな…(今更)。
などとつらつら考えているうちに、妻が続けて言いました。
「職場によっては、留学中は休職を認めるところもあるみたいだよ。私としても、自分の海外赴任がきっかけでダンナが職を失うのは避けたいから、大学の人事担当者と相談してみてくれる?」
なるほど!!
さすが妻、ここまでを考えた上での提案だったのね。
確かに留学という建前があれば、大学も休職を認めてくれるかも。
そう考えた途端、がぜん留学に乗り気になってきました(我ながら実に単純です)。
近日中に人事と相談することを約束し、その日は話を終えました。
そして数日後、人事の担当者との面談。
わたし 「実は、近いうちに海外留学することを考えているんですけど、その場合に使える休職制度ってあったりしますか?」
人事 「いや〜…ないですね」
わたし 「そ、そうですか…」
やっぱりそううまくは行かないか〜。
あからさまにしょんぼりし始めた私に、人事が気を遣って、留学を考え始めたきっかけは何かと訊いてくれました。
わたし 「いや〜実は、妻が民間企業で働いてるんですけど、イギリスに赴任することになりまして。自分も付いて行こうかと思ってるんですが、その期間に留学をしようか、と思ったんですけど」
人事 「なんだ、それなら『配偶者同行休業』が申請できますよ!」
わたし 「へ?」
なんと、わたしの知らない間に、所属先の大学では、配偶者の海外赴任に帯同する職員に3年を上限に休職を認める制度ができていたというのです!
しかも、この制度は出来たてほやほやで、自分がこの制度を使うことになれば大学全体で2例目になるということも教えてもらいました。
(まさか、制度を作った人も、2例目が男性職員になることを予想してはいなかったでしょうが…。)
というわけで、仕事を辞めなくてもイギリスに行くことが可能であることが分かり一安心。
これはもう、イギリスに行けという天のお告げかと思いました(本気で)。
妻もこの知らせに大いに喜び、ここからイギリス移住に向けた動きが本格的にスタートしていくことになります。
(その3に続く)
移住、そして留学までのあらすじ(その1)
「大事な話があるから、会って話したいんだけど」
2018年、3月某日。職場の大学の卒業式・入学式の準備のため、いつものように残業をしていた私に妻から一本のLINE通知。
いつになくシリアスなトーンに、「なんか悪いことでもしたかな…」と恐怖感を覚えながら、仕事をさっさとかたづけ、そそくさと待ち合わせ場所へ。
妻 「今日、上司に呼ばれて、ロンドンに赴任してほしいって。7月から3年間。」
わたし 「え!!」
妻 「ダンナも働いてるんで、少し考えさせてくださいって伝えてるんだけど」
日本の某メーカーで働いている妻。業務の都合上、それまでに何度か長期(3ヶ月〜半年)を含む出張に行っていたので、いつか海外赴任もありうるかも…。と漠然と思ってはいましたが、実際にその時が来ても何となく現実感が湧きません。
でも、気付いたら「行こう!ぜひ行こう!」と答えていました。
その時にはまだ、仕事を休職できるかどうかも分からなかったし、自分には長期の海外滞在の経験もなく、不透明なことばかりだったのにもかかわらず、です。
今振り返ると、妻のロンドン赴任が決まった時期は、自分のキャリアについてモヤモヤを抱えていた時期でもありました。新卒で入職し、学生支援部門で働いて丸4年。
働くことにも少しずつ慣れ、責任も増し、仕事のやりがいや楽しさを感じつつも、「自分は一生、このままの感じで働き続けるんだろうか…」という、漠然とした不安を抱えていたのです。
そんな中、突然舞い込んだ海外移住のオファー。
このチャンスを逃す手はない!と本能的に感じたのでしょう。
この日から、イギリス移住、そして大学院進学へと続く、長い長いプロセスを歩み始めることになったのです。
(その2に続く)
自己紹介
こんにちは、らーと申します。30代前半、男性です。今回、「大学職員」×「海外留学」をテーマに、ブログを開設することにしました。
私は2018年12月まで約5年間、日本の某大学で学生支援部門の職員として働いていました。そこから、妻の海外赴任に帯同する形でイギリス・ロンドンに移住し、約3年間の期限付き主夫生活をスタートさせました(現在は休職中)。そして、2020年9月より、ロンドン大学の一部であるUCL IoEの修士課程(専門は高等教育政策)に在籍しています。
ブログのメインテーマである、大学院での学びの内容や、留学に至るまでの経緯に加えて、まだまだ日本では少ない「主夫」として日々感じていることについても、ブログの「裏テーマ」としてシェアしていけたらと思っています。
簡単ではありますが、以上が自己紹介になります。
これからどうぞよろしくお願いします。
らー